感性×AI(人工知能)技術が生み出す、
ソケッツ未来サービスへの取り組み
プロジェクトストーリー

“人間の想像を広げる”
ソケッツ独自AI技術が実現するサービスに向けて
研究開発メンバーの想いと挑戦

昨今、何かと話題に上る「人工知能」(Artificial Intelligence; AI)ですが、ソケッツのR&Dグループでも機械学習やディープラーニングを活用した取り組みを行っています。そんなメンバーの現状の取り組みやAI技術への挑戦をご紹介します。

五十崎 正明

五十崎 正明

2016年ソケッツ入社。
自然言語処理+機械学習によるメタデータの自動生成、ソケッツ独自のAI 技術の開発に携わる。

機械学習とディープラーニング

もともと10年以上エンターテイメント作品におけるデータベース構築を行ってきたソケッツでは、専門のスペシャリストスタッフが実際に作品を「見て」「聞いて」「読んで」約2000項目に及ぶ感覚表現メタを人力でチョイス、メタ付与することでデータベース構築・開発を行ってきました。
人が実際に時間をかけてひとつひとつ対応、付与したメタデータだからこそ、クライアントが対価を支払ってでも必要とする有用なデータであり、レコメンドやパーソナライズを実現、サービスに奥行きを出すことができるわけですが、それと並行して、この質の高い大量のメタデータを教師データとして機械学習し、生成されたモデルを使って、まだメタが付与されていない楽曲に新たにメタを付与するという取り組みがはじまり、現在では、楽曲の音響データの解析情報と感性メタを機械学習させることで、継続したチューニング、精度をあげての処理を進めています。

さらに、ここ数年、Tensorflow, Chainerといった深層学習のオープンプラットフォームが提供され、深層学習を利用した処理が比較的容易に開発できるようになりました。グラフィックボード上のGPUを使って処理を高速におこなえるライブラリも提供されています。また、ニューラルネットワーク層を多数積み重ねる MLP (多層パーセプトロン)の形から発展したアルゴリズムが多数考案されてきています。
例えば、CNN (畳み込みニューラルネットワーク)では、入力データに対してフィルタをかける(畳み込む)層を追加し、そのフィルタをニューラルネットワークで自動調整させることでデータに含まれる特徴パターンを検出することができるようになります。この技術は主に自動運転などの画像処理の分野での利用が進んでいます、最近ではテキスト処理の分野でも応用が進んできています。
それ以外には、時系列情報の学習方法として、再帰型ニューラルネットワークRNN (Recurrent Neural Networks)に LSTM (Long short term memory network)技術を組み合わせによる技術が注目されています。この RNNの利点は音楽や文章などの連続的な情報を利用できる点で、この技術を用いて音楽や文章といったコンテンツの自動生成の研究が成果を上げつつあります。

機械学習とディープラーニングを活用

ソケッツでも、JPOPの歌詞の解析情報と感性メタを深層学習させることで「LOVE_HAPPY」「LOVE_SAD」「LOVE_一般」「友情」「青春」「励まし」「一般」の7つに分類するといった新しいメタを生成、付与することが可能となりました。
このような深層学習に関する新しい技術を用いた実例を参考にしつつ、ソケッツの所有するコンテンツ情報や感性メタ情報を利用することで、斬新かつ実用的なビジネス領域をさらに開拓できると確信するようになりました。

ソケッツが目指すAI技術

ソケッツのテクノロジーを集約したソケッツ独自のAI技術に挑戦そんなソケッツのテクノロジーを集約してソケッツ独自のAI技術の確立を目指す、という動きも本格化しています。
最初にAIという言葉については、色々と曖昧な使われ方をしており、人によっての捉え方も多種多様になりがちですので、一旦、「人が過去の経験や感性・感覚に応じて処理してきた作業を、人に代わって処理する」と定義してお話ししたいと思います。
今後、中期的なソケッツのコア技術開発の議論を進める中で、軸となるべきキーワードは以下を想定しています。

・人の感性に関する技術
・コミュニケーションを促進するための人と人、人とモノとを上手にマッチングさせる技術

人の感性、感覚的な思考を考慮し、その場面に応じて適切な処理を判断できる技術を中心に開発、活用していくことで、クライアントの満足度を高めることができ、社会における ソケッツの担い、果たす役割もより堅固にしていけます。さらには、新たなビジネス領域を切り開くための武器になると考えています。これらの実現には、ソケッツの資産である、人の感性を分類するノウハウと、すでに蓄積されている膨大な感性メタ情報を教師データにして活用することができます。これは、他社が容易には真似のできない、大きなアドバンテージとなります。

ソケッツのコア技術となるであろう人の感性に関連した技術を活かす機械が人の感情の変化や状態を推測できるようになれば、

– 気が利いた先を読んだ対応、場の空気を読んだアドバイスをする
(おせっかいではなく、気が利く)
– 人のあいまいな要求に対して潜在的な要求を推測して処理する
(気づかせる、さりげない情報提供)
– センスが同じ感覚の人同士をマッチングさせる
– 適切なタイミングで相手をなごませるコメントをする
(ユーザーの気持ちを考慮した自動応答)
– AIがコンテンツの良さを人の感覚で評価する

といった、より人間味のあるアプリケーションやサービスを提供できるようになります。まだ議論段階ではありますが、僕たちR&Dメンバーはソケッツにしかできない、ソケッツらしい、独自のAI技術の確立に向けて歩み出しています。

どう進めていくか

横断的に並行して動いている研究開発やプロジェクトに携わるメンバーも多い中、今後、ソケッツのコア技術となっていくであろう、人の感性に関連した技術を効率よく開発していくためには、重要な部分にのみ開発を集中させ、それ以外はオープンソースの積極的な利用、社外研究機関との継続的な連携を行うなど、社内の開発リソース配分の最適化の必要性を感じています。
さらには、プログラム言語、ライブラリ、評価方法の共通化という点では、従来から使用されている C, JAVA に加えて、今後は機械学習ライブラリの豊富な PythonやScalaを積極的に使っていく、また、従来技術に対して、開発した技術の優位性については、数値指標の比較により客観的に判断できるようにしていく、など、ここはテクノロジーグループが牽引してきた開発体制、マインドにつながる部分でもありますね。
そういった意味でも、R&Dの活動内容、成果物について、社内への積極的な発信、共有はMUSTだと考えています。
・開発した技術、ソースコードの GITHUB 経由での共有
・開発したプロトタイプの社内への展開
・社内向けR&D技術報告会の実施

データベースサービス企画・構築・運用におけるあらゆる社員のフィードバックは重要直近の、足元の視点としては、社内の日々の業務や案件に貢献するような研究開発成果を出していき、中長期的には、クライアントと向き合う営業メンバーの新規ビジネスへのニーズや可能性、データベースサービス企画・構築・運用のプロジェクトに携わっているより開発、運用メンバーの、よりサービス、ユーザーに近い視点など、それぞれ異なった立場・視点の社員たちからのフィードバックを得て、数年後、社員一丸でソケッツ独自のAI技術の確立、サービス化を成し遂げたいと思っています。

感じる“可能性”と実現するということ

始動したばかりといっても時が経つのは早く、着手すべきこと、また、まだまだ議論を重ねなければならない部分など明確になり、目指す方向もまとまってきました。
そうした中で、僕個人が強く興味を持ち、可能性を感じていることが2点あります。
1つ目はAIで感情の変化をシミュレーションするモデルの確立です。人の感情は、例えば「喜び」「平静」「驚き」「興奮」「怒り」といった状態が時間的に変化しています。また、感情の変化の傾向は各個人ごとに異なっています。そのような各ユーザーの感情の変化を推測しつつ、ユーザーの行動パターンや嗜好分析結果、類似ユーザー分析結果と組みあわせることで、より人間味のある情報提供サービスを実現できるようにしていきたいと思っています。
2つ目は、現実世界とネット世界をソケッツの提供するメタデータを用いて、リアルタイムでマッチングさせることで、新しいビジネス領域を開拓していきたい、ということです。例えば、ウェアラブルデバイスと現実世界の情報、感性メタ情報をリアルタイムに連動させることで、ユーザーの細かい感覚にフィットした新しいユーザー体験の提供など、すぐそこにきている未来に向けたイメージは持てているので、あとはこれらの実現に向けた、様々な課題を、一歩一歩進めていくことの積み重ねが、数年後の成果につながると信じています。

研究開発に携わってきたスペシャリストも、こういった分野に挑戦し始めたエンジニアも積極的に意見を交わします

ソケッツには、コアな技術力を持ったエンジニアをはじめ、様々な職種のメンバーが集まっており、興味の範囲や趣味も多種多様ですが、1つ共通していることとして、音楽や映画、本との出会いをはじめとした「セレンディピティ(偶然の出会い)」を創造し、様々な気持ちを知り、想像し、そして気持ちをつないでいく、そんなサービスを創りたい、という軸を皆もっています。
まだまだ、ソケッツがやりたい事、成し遂げるべきことを実現するには人手が足りていないところもあります。このような分野の研究開発に携わってこられたスペシャリストの方も、実務も経験もまだまだこれから…、でも、こういった分野に興味がある、可能性を感じる、そんなエンジニアの皆さんと、新たな視点と機動力で、ともに挑戦していきたいと思っています。

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