感性AI技術が生み出す、
ソケッツ未来サービスへの取り組み
プロジェクトストーリー

唯一無二の感性AI技術が実現する未来

目に見えづらい感性や情緒を解釈し応用する技術として、独自データベースであるMSDB、LLM(大規模言語モデル)をはじめとした新しい技術を活用しながら、ソケッツでは感性AIの技術開発を進めています。その挑戦の背景や取り組みをご紹介します。

澤崎 夏希

澤崎 夏希

2020年ソケッツ入社。
自然言語処理を中心に、コンテンツに付随するメタデータの自動生成や、感性AIの技術開発に携わる。

感性AIとは?

感性AIを簡単にご説明すると、ソケッツが蓄積しているドメイン特化データベースと生成AIなどのAI技術を活用した独自のAI技術群のことを指します。
簡単に特徴を説明するならば、

  • ドメイン特化データベースによる根拠となるデータを利用する
  • 独自データベースを参照し最新情報・専門性を補完、ドメイン専門家評価による情報の鮮度と専門性を保つ
  • 知識ベース推論の併用、説明可能データで透明性と信頼性を確保する

という点になります。

生成AIで問題視される専門性と最新情報の補完を行いながら、生成AI単体では困難な根拠の説明可能な透明性のある推論を実現します。

感性AI技術の活用、課題、見えてきた可能性

ソケッツではメタデータの利用シーンを、エンタメ作品全般から一般商材に拡張し、新たな感性マーケティング事業として、2022年インターネット広告サービス『Trig's』をローンチしました。
スマートフォンの普及、さらには欧米での個人情報の取り扱い規制により、Cookieが取得できるケースは限定傾向である中、Cookieに頼ることなく、記事を解釈して興味関心を付与することで、幅広いユーザーへのターゲティングを実現したサービスとなります。
当初は、その解釈を安定して再現するため、機械学習モデルを構築する必要があり、学習データを用意するにも膨大な時間がかかっていました。ゼロから正解データを作る工程は丁寧さが必要であるため、どうしてもスケールしにくく、ここが長らくサービス改善のボトルネックでもありました。
そこで少量の正解データを感性AIに与えることで、学習データに正解の候補を付与することができます。これにより、人間のアノテーションは「正解を一から作る」作業ではなく、「候補が合っている/誤っている」を2値で判定する作業へと変わります。候補の提示があることで、人が迷う時間が減り、判断の観点も揃いやすくなります。もちろん最終的な責任は人が担いますが、作業の重心が「生成」から「判定」へ移ることで、データ構築の進め方が大きく変わり始めました。
ただ、感性を扱う以上、もうひとつ難しい問題がありました。それは、正解が一つに定まりにくいことです。感性に関する解釈には個人差があります。生成AIにペルソナを指定すれば、多様な感性を表現することはできますし、実際その多様さは強みになります。しかし同時に、正解である根拠が不透明になりやすいという弱点もあります。「それっぽい」言い回しはできても、なぜそれが正しいのか、どこに根拠があるのかが曖昧だと、運用の場面で再現性が揺らいでしまうのです。
そこで私たちは、感性AIへソケッツがこれまで蓄積してきたメタデータを根拠として扱うことを重視しました。ペルソナによって多様な表現を許容しつつ、正解の根拠は自社のメタデータへ接続、言い換えると「表現は広く」「根拠は固定する」という設計です。これにより、感性の再現にブレが出やすい領域でも、ソケッツとしての基準を保ちつつ、安定した感性の再現を目指す目処が立ちました。これは、単に生成AIを導入することでは難しく、ソケッツの資産を中心に据えた活用だからこそ実現できたと思っています。

今後の展望

日本ならではの情緒、感じ方、捉え方はきめ細かく複雑で、現状提供しているソケッツサービスにとらわれず、あらゆる業種の企業で、そういった人の感性を理解、言語化、体系化することでマーケティング活動に活かしたいというニーズがあることも日々実感してきています。
そういったニーズに対して、感性を観測出来る機会は非常に限定的で、その場限りの揮発性の高い発露であることが課題であると考えています。そこで、本来瞬間的なものである感性の表出をデータベースとして蓄積していることが大きな強みになります。近年のAI技術は学習データの大規模化から高品質化にシフトしつつあり、良質なデータによってより高品質なAIへと発展しています。感性AIも蓄積された高品質なデータをニーズに合わせた理解をすることで、きめ細かく複雑な感性を科学できると考えています。

データベースサービス企画・構築・運用におけるあらゆる社員のフィードバックは重要直接的に顧客と会話する機会のないエンジニアが、営業を通して顧客ニーズを正しく理解する重要性と合わせて、職種にかかわらず、AIに慣れ親しむことにも意味があると考えています。社員ひとり一人がAI市場を体感し、さらにソケッツの感性AIの特性や現在地を理解する、そうすることで、たとえば営業も技術的な提案が可能となる、運用サイドでもアイディアが生まれる、「全社で磨く」という理想的な風土に近づけると思っています。
その意味も込めて、AIイノベーションサポートという制度を立ち上げ、全社的に支援が可能な体制も整えています。
そして、最新動向のキャッチアップは前提として、全社的な連携に加え、外部との連携や協力も必要不可欠であると考えています。
生成AIの利用は評価の段階で人手が必要なことが多く、知見もエッジケースや経験則的な蓄積になりがちです。そのため、一部の人間が関わるだけでは閉じた成果になりやすく、だからこそ、現場、企画、営業、運用といった多様な視点を社内で循環させつつ、外部の知見とも接続していく必要性を感じています。開かれた形で試し、評価し、再現性のある形に落とし込む、その積み重ねが数年後の独自技術のさらなる確立につながると信じています。

飛躍するテクノロジー × 感性の可能性

AI技術はまさに日進月歩の勢いで進んでいます。「最新技術」の指す範囲がどんどん短くなり、今では1年前の情報が遠い過去のように思えるほどです。これまでより便利に高速に処理できる分野が加速度的に広がっているということでもありますが、それでもその時々で“壁”は立ちはだかります。
ソケッツには、コアな技術力を持ったエンジニアをはじめ、様々な職種のメンバーが集まっています。興味の範囲も趣味も多種多様ですが、好きなものへの熱量が高く、かつ自分とは別の界隈を好きな同僚への許容やリスペクトがある点は非常に特徴的かもしれません。そうした熱量と人それぞれの感性に寄りそうサービスを創りたい、価値を創出したいという共通の軸があるというのはこの先の実現に向けて大きな武器であると感じています。
生成AIの登場によって、「人の解釈」を扱う方法は増えました。しかし、それをそのまま使えば良いわけではありません。ソケッツの資産である感性メタデータを根拠にし、評価の設計を行い、社内外で知見を循環させながら、人に寄り添える感性AI技術をさらに磨き込んでいきます。正解がはっきりあるわけではない感性を扱うわけですから、常に議論と試行錯誤を続けていくことになると思います。
独自のMSDB、感性AI技術に続き新たにIPデータテック事業に向けてエンターテイメントDMPの構築も始まり、今まで以上に、ソケッツが扱う感性、生み出す価値が拡大していきます。一丸となっての挑戦はまだまだこれからも続きます。

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