社長からのメッセージ(株主通信2026年6月より)

株主の皆様、日頃ご期待やご関心を頂きありがとうございます。
年に2回の株主の皆様へのお手紙としてお届けさせて頂いております。一方的に思いや考えをお伝えするような形ではありますが、お付き合い頂ければ幸いです。

苦しい1年でした。私と同じように、私以上に苦しかった社員もいたと思います。
そして現在の冴えない当社の株価をご覧になって不安になったり苛立ちを感じる株主様も確実にいることと思います。そのような方々から見れば、私の苦しさなど当然ですし、私自身もそう思います。「何やってんだ」と。
2年前の9月に重ねる投資になかなか収益が追いつかず「このままではダメだ」と痛切に感じてリーダーチームと共に会社の体質改善を進めてきました。それは単に収益の改善を指すことではなく、会社の、私自身の体質というか考え方や行動の改善を自らに促すものでした。この会社、私に足りていないのは、「やり切る」力です。仕事をしていれば小さな約束、大きな目標、大小様々な責任が立場が上に行くほど伴いますが、私自身にやり切る力がここまで足りず、結果それが会社に伝播していた面もあるのだとも思っています。この改善はまだ道半ばです。

6年ぶりの黒字は当社にとっては大きな明るい兆しです。黒字化だけで言えば、赤字要因でもあったここまで重ねてきた感性AIやメタデータ等への先行投資自体は大きく変えていないので、シンプルに言えば事業基盤の強化、損益分岐点をようやく超えてきたと言えます。大きいのは粗利率が伸びてきていることで、コストや販管費の効率化もありますが、数字面でいえば、まだ十分な伸びとはいえませんが、売上が4期連続で少しずつ増えてくる中で、原価率が下がり、粗利率が上がり、前年比でいえば営業キャッシュフローがマイナス1億5,200万円からプラス1億2,200万円と2億7,300万円増えました。
現在の事業構造で言えば、売上増加の多くが利益に直結します。このような反転は、リーダーチーム、そして社員のお陰です。

上場している意味が問われた1年でもありました。ここまで増資をする訳でもなくM&Aをする訳でもなく、社員とともにエンターテイメント、コンテンツをデータや技術で社会にもっとたくさん繋いでいくこと、そのために必要な開発をしようと進めてきましたが、現在まだまだ大きな成長が出来ている訳でもありません。上場会社としてせっかくの成長機会を頂きながらその舞台を活かしきれていない、ということです。なので問われるのは当然です。
問われる機会に感謝しています。お返ししないとなりません。

株主様の数が、この半年で約5倍になりました。その中には不満を感じている方、数ある投資先の1社なのでさほど関心がない方、頑張ってと応援しようと思って頂いている方、多様な方々がいらっしゃると思います。少し耳は痛いけどしっかりしたご意見、真にありがたい励まし、ほぼ誹謗や印象操作と言えるのではなども稀にあるとのことです、つまり実に様々な声があるのだと思いますが、それも上場しているからであり、その機会を活かすのが、責任だとあらためて思っています。
活かすとはどういうことか、それにどう向き合い、手段は問わずとまでいうかはともかく、行動で示すことや結果を出すことだと思います。
当社の行動規範である「あきらめない」「逃げない」「ごまかさない」これを私自身がどう実践するのか、問われています。

現在のエンターテイメント分野を中心としたコンテンツデータやシステムを提供する会社からIPコンテンツを創発、増幅する会社へ脱皮するというIPデータ会社として大事な1年となります。
このAI時代に“データ”にどのような機会や意味があるのでしょうか。
データはAIでいくらでも作れます。ただしAIで作れないデータもあります。
またデータがいくら数多あってもその分野に精通した専門的な使い方が大事です。一方でデータの使い方はAIが学習することも出来ます。そもそもデータの定義や対象は誰が何の目的で行うのでしょうか。
謎解きのような表現で申し訳なくも思いますが、このようなことを踏まえつつ、私達はIPデータテック会社として日々取り組んでいます。
一つ確かに言えるのは、当たり前ですが、コンテンツを創る、生み出すクリエイターにとってどのような意味や価値があるのか、そこが大事な前提と考えています。
AIがコンテンツを創る時代にもより入っていきます。その中で変わる本質と変わらない本質を見極めていきながら進んでいきます。

視点を変えて、一つ、例えとして、お伝えできればと思います。
高校生の女の子がいます。80歳のおじいちゃんがいます。子育て奮闘中の主婦がいます。
三人は特にクリエイターという訳ではありません。SNSなどを通じて世の中に何か発信するわけでもありません。でも生きていて、生きてきた中で“思い”はそれぞれあるのだと思います。
今まではその思いを抱えて暮らしていくか、またはその思いに近い存在やコンテンツ、たとえばアイドルやアニメ、映画、アーティスト、曲や俳優などに自らを投影したり応援したりすることで自分を表現したりアイデンティティを確認することをしたりすることがあるのだと思います。
これからの時代、そのような世界は変わらなくあり続け、または推し活というところでよりその世界が広がっていくことかと思います。一方でそうではない世界も生まれるはずです。たとえば、女の子が今の積もりに積もった思いや葛藤を表現して授業中に描いた落書きの飼い猫のイラスト、おじいちゃんがテレビに向かって話したまるで哲学者のような達観した一言、主婦の方がふと自分を励ますためにベッドで口ずさんだメロディ、これらはそもそもコンテンツ、またはコンテンツの素になりえます。ただ今はもしそれを横で見た友達、それをたまたまリビングで横で聞いた孫、枕元でふと聞いた旦那様がそれらを「おもしろい」と思ってSNSなどに投稿してもそれが実際に多くの人が楽しめるコンテンツになったりすることはなかなか難しいのだと思います。ただもしその「おもしろい」を“預ける場所”があれば、その「おもしろい」を“拾う人”がいれば、その「おもしろい」を“広げる人”がいれば、“届ける人”がいれば、これらの場所や人の存在があれば、そのイラストや一言や鼻歌が、キャラクターや物語や曲、そしてアニメやドラマになるのかもしれません。
そしてそのような場所や人が技術の進化によって身近になってくる、きっとそんな時代はまもなく来る、もう来ているのだと思います。
私達は、これらの “預ける場所” “拾う人” “広げる人” “届ける人”をデータや技術で繋ぎ、コンテンツを“創発” “増幅” する会社を目指しています。
ちなみに創出ではなく創発と言っているのは、それぞれの個性やアイデアが繋がって予測を遥かに超える全く新しいものが生み出されていく、という創発本来が持っている意味と当社が目指しているIPデータ会社としてのその先に進む道が非常に近いところにあるからであります。1億総クリエイター、地球規模で言えば80億総クリエイター時代に必要とされる1社になれればと思います。

一方でこのような世界がビジネスとして成立するのには、現実的にまだまだ解像度が低いです。
そもそも先のお三方の例のような方々以前に、現時点で既に世の中ではライトノベル、小説、イラスト、コミック、楽曲、ゲーム、キャラクターまで創作物が日々多く生み出されています。
その多くがまだ商業化されていません。もちろん創作物全てが商業化されることはありません、それが求められている訳でもありません。一方で本当は誰かが気に入ってくれるのだけど、まだ商業化されていない、もしくは商業化されていたとしても、気に入ってくれる人は本当はいるのだけどまだその人に届いていない、ということはあるのだと思います。そのようなコンテンツやクリエイターが必要とされる、気に入ってくれる存在に繋がり、世の中でビジネスとして(お金になる)成立していくという、まずここで具体的な成果を出すことで、ビジネスとして成立させることで先ほどの少し夢のような次の世界へ進むことも出来ます。
世の中でまだ埋もれている才能やコンテンツの素をどのように発掘し、それをどのような方々と組んでコンテンツ化し、どのような方法でお金に(マネタイズ化)し、そして広めて、届けていくのか、これらの取り組みを実現するのが、昨年にようやくリリースしたエンターテイメントに特化したデータマネジメントの仕組みである「MSDB Bridge」です。
これを活用した様々な取り組みが始まっています。そこでは、まだ商業化されていないコンテンツを制作会社の人と探し出したり、商業化されているけどまだあまり知られていないユニークなコンテンツをマーケターの人と見つけたりすることをします。今期はこれらの取り組みの実施に関してはコストとして計上していますが、売上計画にはほぼ入れておりません。具体的には既にご紹介の集英社様との取り組みをはじめいくつか進んでおりますが、実際には来期以降の売上に繋がってくることとなります。一方で現在はこれらの取り組みは各社様との個別案件となっておりますので、並行して今期においてこれらをプラットフォーム(多くの方が広く使えるシステム)化しビジネスとして広げる環境を創る必要があります。

今期の売上予想成長率は、現時点で約4%と率直にいって利益予想成長率25%と比べても相当に物足りない数字と思っています。このようなターム(期間)からの脱却、より大きな売上成長タームに入ること、これは当社にとって大きなテーマです。そのための変化の1年となります。

一方で先にお伝えしました通り、単なるデータ制作は、AIで出来ます。
そこではない価値を出せるか、エンターテイメント、コンテンツ関連の市場の声、現在のクライアント様からの期待や要望や不満、これらによりしっかり向き合う中で、クライアントの方々と共に新しいエンターテイメント体験を創る1年にいたします。
合わせてなかなか取っ掛かりが掴みきれていない海外ディストリビューションやより進んできた当社の新しい事業領域であるリアルのエンタメ体験市場など、成長の種はお陰様で出来てきております。前期までは土壌を耕し、今期は種を蒔き、そしてその先の成長へ向けて、今まで積極的な検討や実現をしきれてこなかったファイナンスや提携などの手段もフラットかつ成長へのスケールとスピードをより意識しながら進めて行きます。

また先日プレスリリースしましたように新たに取締役に豊田君が株主総会を経て加わる予定です。31歳と私に比べるとだいぶ若くもありますが、彼は当社のAI分野含めた開発リーダーであり、メタデータを学生時代からライフワークにしている人物であり、かつ筋金入りの尊敬すべきオタクであり(主にメタデータオタク、アニメオタク)、かつ学生時代に貴重な起業経験などもあります。ここ数年様々な課題について、またその先にある未来について会話を重ねてきました。力を合わせてより良い経営チームにしてまいりますのでどうぞよろしくお願いいたします。

これは私のエゴですが、やはり期待をして頂いた方にお返しがしたいです。
期待を頂くことでエネルギーを貰ってきました、ここまで皆様から溢れるほどたくさん頂いたものがあるので、溢れた分お返しする摂理があります。

正直、今の業績や株価は自分でも「何やってんだ」と思っています。
一方でこの会社やこの会社の技術やデータは、これからの1億総クリエイター時代、つまりひとりひとりの個性やアイデアが繋がって絡みあってカタチになることで、より社会や人間の心がより豊かになる時代に必ず役に立ちますので、社員、役員、アルバイト、取引先の方々、アドバイザーや業務委託の方などの多くの当社を取り巻くみなさんと力を合わせて鍛えあって、具体的な成果や数字でお返しできればと思います。
期待と関心に心から感謝します。ありがとうございます。

株式会社ソケッツ代表取締役 浦部浩司

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