社長からのメッセージ(株主通信2020年12月より)

株主の皆様、半年ぶりのお手紙となります。
まだまだ皆様のご期待に応えきれていないなか、この手紙を送る機会を頂き、そして目を通して頂き、ありがとうございます。
この機会を通じて、当社の現状や私の考えていることを、少しでもお伝えすることができればと思っております。

当社は、今期ここまでは利益は想定通り、売上は計画に対してなかなか苦戦、という状況です。売上が計画に対して届いていない理由は、経済環境やコロナ禍などの社会的要因ではなく、わたし達の力不足だと考えております。
現在の主力のエンターテイメント分野におけるデータ関連サービスは、それぞれの社員の踏ん張り、データ提供先の関係者の皆様のより良いサービスへのビジョンやコミットメントなどにより、御陰様で順調に進捗しております。一方で、前期より始まった資生堂様、セシール様など非エンターテイメント領域でのデータ関連サービスの拡大が、まだまだ展開に時間がかかっています。消費者の”感性”や”感情”に関するデータを自社のマーケティング、販売、開発に取り入れる、というニーズは、多くの業種や企業でより顕在化しつつあることはこの半年でもより感じています。一方でそれらの可能性を活かしきれていない、という状況です。これには、いくつか当社サービスに不足があると考えています。
具体的には、当社が生成するメタデータの「使いづらさ」「料金体系の柔軟性の不足」「効果の定量化の不足」などがあります。それぞれ、もう少しだけ詳しくご説明しますと、「使いづらさ」は、当社のデータの形式と相手企業のデータの形式を合わせるところで時間や手間がかかるというようなところがあります。
また「料金体系」についても、より多様性のある料金プランが足りていない面があります。そして「効果の定量化の不足」は、感性や感情に関連するデータが、どのように事業に具体的な効能があるか、というところで、販売への効果というところでは比較的分かりやすいものの、とはいえ、どこまでが、感性データの効果なのか、また販売以外のマーケティングや開発という面では、よりその効果測定においてまだまだ分かりやすい答えを出せていないという認識をしています。この半年での様々な企業の方々からの率直な声に感謝です。
人が持つ商品やサービスや体験に対する感性や感情を解釈し、大量データの分析などだけでは分からない顧客心理を感覚的な面からも理解し寄り添う、これがわたし達ソケッツならではの感性や感情を科学する技術ですが、世の中で広く使われていくことに、まだまだ出来ていないことも多く、茨の道は続いております。とはいえ、いつまでもこのようなことを言っている訳にもいかないのも事実で、ここまでのうまくいっていない現実を直視し、解決し、必ず人の感性や感情を理解するデータや技術をより社会に役に立つカタチで実現していきます。
とはいえ、今期の売上計画に遅れが出ている状況であり、そのバックアッププランも考えていかなくてはなりません。

ここ数年間、当社の「感性や感情を科学する技術」のなかの研究開発において注力してきたところで、「文脈を解釈する技術」というものがあります。それは一般的には、一定の情報や文章の中からそこにどのような内容が表現されているかを解釈する技術となります。。たとえば、あるメディアでコラムや記事などの情報があったとします。その情報に書かれている内容を解釈する、というものです。しかしながらわたし達が出来ることは、既に世の中にあるそのような「文脈を解釈する技術」ではなく、「文脈に含まれている感性や感情を解釈する技術」となります。
たとえば、ファッション記事で、「冬のおしゃれ」「大人っぽい」「ワンピース」これらが紹介されている、というところまでは従来の技術でも解釈ができます。
一方でソケッツの技術では、さらに「エシカル」で「シンプル」に「エレガント」でかつ「コストパフォーマンス」「自然体」というようなメタファー(隠喩)までを含めたその情報が表現している内容を解釈することができます。もしかしたらなかには魔法のように思われる方もいるかもしれませんが、魔法でも何でもなく、当社が得意の感性メタデータ生成、辞書づくり、オントロジー(感性や感情の体系化)など、ここまでエンターテイメントのデータサービス分野で培ってきた技術を最大限活用して細かなチューニングを行ない続けるなかで出来ることとなります。そして、こうした技術が大きくいえば、インターネット広告の世界で、有効活用できることが分かってきました。実際にあるメディアの協力を得て、実証したところ、既存のインターネット広告のエンジンよりも良い効果が見られました。もちろん限定的な検証で全ての可能性や課題が分かるものではありませんが、現在進めている実際に存在するメディアでの効果検証の数値結果は、わたし達の独自技術の大きな可能性を示してくれました。
一方で、先ほど申し上げた通り、今期の売上が計画通りに進んでいない面があります。これらの背景もあり、もともとインターネット広告エンジンに関しては来期以降での展開を検討していたのですが、このエンジンのリリースを前倒しで行なうべく準備をタイトなスケジュールではありますが、現在進めています。どこまで今期の売上に寄与できるかまだ分かりませんが、会社としてベストを尽くし皆様との約束ともいえる期初業績予想に残り4ヶ月向き合ってまいります。
インターネット広告サービスに関して具体的な内容やビジネスモデルなどはこのタイミングでお伝えできないこともありますが、来るべきタイミングでご報告やご説明をさせて頂きます。

そしてこの取り組みは前述の非エンターテイメント分野の感性メタデータ事業の課題のところで申し上げた効果の可視化にも重要な意味をもたらすことと考えています。インターネット広告エンジンでの性能はその大半が数値化されます。つまりここでの性能数値情報が、効果の可視化、つまり「感性や感情に関連するデータやその関連技術の価値を定量的に数字で証明する」という従来の課題の解決にも繋がります。タイトな開発が続きますが、引き続き、ご支援、ご期待を頂ければ心強く思います。
一方で、従来の主力であるエンターテイメント分野のデータサービスにおいても、まだまだ出来ることがあるどころか、新しい可能性が大きく広がりつつあります。
前提としては、当社の独自かつコアな得意技術である「感性や感情を理解する技術」をここでも活用し、エンターテイメントに関連する分野でも今後よりおこるであろうDX(デジタルトランスフォーメーション)にしっかりとした付加価値を出せるようにしてまいります。この分野においては、「少しでも多くの音楽や映像作品が生まれ、世の中に繋がり、聴取、視聴、体験されていくこと」をわたし達ソケッツのライフワークとして、従来のメタデータ開発、レコメンドエンジン開発の磨き込み、そしてエンターテイメント分野に特化した分析サービスやAIの技術およびサービス開発をより進化させてエンターテイメント分野での活用範囲を広げていきます。この分野での新しい取り組みにおいても、現時点でPoC(Proof of Concept=実証実験)における良い結果も出始めているので、プロダクト化、サービス拡大を来期には実現していきます。

ここまでをいったん整理しますと、わたし達の事業は、「感性や感情を科学する技術」を基本とし、メタデータ関連技術を開発しています。そのうえで、事業としては、現在、「エンターテイメント分野におけるデータ関連サービス」が大半で、この領域でのアップデートを進めています。さらに立ち上がりが当初の想定よりも時間がかかっている「非エンターテイメント分野におけるデータ関連サービス」を軌道に乗せるべく、あらゆる課題や問題に向き合っているところであります。そして、当社の感性や感情を解釈する独自技術が大きく活用できる「インターネット広告サービス」を予定より早く立ち上げる、というなかで、3本柱ともいえる「エンターテイメントデータ関連サービス」「非エンターテイメントデータサービス」「インターネット広告サービス」にて事業を構成し、会社全体を大きくアップデートしてまいります。皆様のご期待やご理解のお陰様で、チャレンジを続けている人間の感性や感情を科学する技術面につきましては、確かな手応えは増しております。とはいえ、ビジネスは結果がすべてであり、その意味でも早く皆様に少しでも安心頂いたり、より大きな期待を頂くところまで持っていければと考えております。
そしてこの「3本柱」の先に、目指している当社ならではのエンターテイメントとマーケティングの世界をつなぐ「共感マッチングプラットフォーム」があります。この仕組みの実現に向けて前進します。

ここまでは、技術や事業の話となりますが、それらと同じくらいに、そして、ある意味では、それら以上に大事な会社の文化について触れておければと思います。
会社の文化の基本は、やはり人が創るものですが、ソケッツはここでもデコボコ道で、たくさんの失敗を経験しています。失敗の種類は、状況やタイミングによって色々ありますが、大きくいえば、ありのまま、あるべき、を率直に伝えるべき時に伝えきれていない状況が往々にしてあったという反省があります。会社として大事にしている目指すものや価値観に対して、より妥協なく進めていくことが、結果的には社員や取引先や株主の皆様のためであることにより強い責任を感じています。
ソケッツには現在8人のグループリーダー、つまり部門責任者がいます。コロナ禍で、多くの仕事をリモートワークという状況のなかで、一体感や求心力というものをどう育んでいくか、というところにそれぞれ、またみんなで試行錯誤しています。また当社にプロパーで入り在籍10年近くなってきた5人ほどの社員で、社長室というものを構成しています。このグループリーダーと社長室のメンバーと、できる限り率直に現在の困難や課題、将来の可能性について語り合い考えています。その意味では、私は恵まれていて、こうした人達の力を借りながら、何とかより良い企業文化をつくりたいと考えています。
より良い企業文化とはもちろん会社によって様々であると思いますが、基本的には、行動や結果の積み重ね、で出来るものだと思っています。
ソケッツは、あきらめない、逃げない、ごまかさない、という価値観を大事にしています。
会社は不思議なもので、最近うまくいっているな、いい感じになってきたかな、と思っているどこかで、必ず良くない話が潜在的かつ顕在的に生まれているものです。そんな日々を過ごし悩ましいことは尽きませんが、困難にしっかり向き合い、できることややるべきことに集中して乗り越えてまいります。そしてそのような日々が、新入社員含め、これからのソケッツの文化を育てていくものだと考えています。

重ねて、株主の皆様、いつもありがとうございます。期待になかなか応えきれず、申し訳ありませんが、必ず何とかします。

代表取締役社長 浦部浩司

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