社長からのメッセージ(株主通信2024年6月より)

みなさま、半年ぶりのお手紙となります。
いつもご期待をくださりありがとうございます。
このお手紙を通じて、前期の不甲斐ない業績のご説明や足元の状況や今後についてお伝えできればと思っております。いささか長文ですが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。
株価はこの手紙を書いている時点で1,000円前後での推移となっており、1年前と比べて10%、半年前と比べても5%程度の上昇に留まっており、大きくご期待に添えていない状況と認識しています。

まず前期の業績予想に届いていない状況についてご説明いたします。
売上は僅かながら前年比増収ですが進捗率は93%に留まります。利益は予想を大きく下回る8,000万円程度の営業赤字となっています。黒字を予想していたことも含め、まずはこの事実に向き合い行うべき改善を進めないとなりません。 業績予想より大きく利益が低下した原因は、まとめると4つあります。1つ、エンターテイメントデータサービスで、期ずれが起きたこと、2つ、海外データサービスの事業構築により費用先行があったこと、ここまでで利益ベースにて、6,000万円程度の影響がありました。合わせて、3つ、感性ターゲティング広告サービスにおいてメディア開拓を先行させたこと、4つ、円安によるインフラ費用の増加、これらが大きな要因となります。このうち、2つめの海外データサービス事業構築費用、3つめのメディア開拓費用、これらは、今期以降の収益基盤に確実に繋がる活動であるので、先行費用としてより意味がある赤字であったと言えるようにいたします。 いずれにしても、赤字は皆様との約束にも関わる話であり、プロジェクトの進め方、進捗管理スピードに課題があるのは事実で、この課題解決を確実に行っております。
重ねまして、ご心配をおかけしたこと、業績予想を守れずにがっかりさせたこと、本当に申し訳ありません。一方で、営業キャッシュフローは前期より向上しており、無借金経営のもと、今後、柔軟な資本、財務、提携政策も可能な範囲で検討してまいります。

一方で、前期、従来にはない様々なチャンスの芽が生まれました。
1つめが、海外へのデータ提供サービスの道筋です。アニメをはじめ、日本の音楽も海外で視聴、聴取される機会がますます増えてきております。海外企業Luminate社の調査によると全世界では、昨年1年間で4兆回の音楽再生があり前年度13%程度の増加をしています。
その中で、実は英語圏の再生シェアは下がる傾向で、シェアを伸ばしているのはインド語圏、そして日本語圏の楽曲です。また楽曲の多くはアニメのタイアップソングとしてグローバルで聴かれていますが、そのアニメ自体の市場も海外で大きく成長しており、今や日本国内のアニメ市場の規模を超える規模にまで成長すると言われています。
このように世界で着実に日本の音楽やアニメコンテンツが体験される機会が大きく増えてきています。
ひと口にグローバルといっても、もちろん英語圏だけでなく、ヨーロッパ、アジア、中南米、中東、アフリカと、音楽・映像配信サービスが新興国にもますます広がっていっています。それらの市場環境の中で、当社のメタデータの事業機会が増えていきます。その過程の一つとして前期は、海外で幅広くデータ提供事業を展開しているデータディストリビューター1社と業務提携を締結しました。今後も提携先の拡大や当社の多言語メタデータの一層の充実を図り積極的に海外展開を進め、日本のエンターテイメントの海外での躍進に当社ならではの貢献ができるよう進めていきます。
2つめ、映像データサービス、アニメデータの分野において進展がありました。
アニメといってもその中身は、シナリオ、キャラクターデザイン、絵コンテ、レイアウト、作画、動画、仕上げ、背景、撮影、編集と様々な工程があり、しかも動画の中には様々なレイヤーが存在します。そうした膨大なデータ量からなるアニメを当社独自のメタデータを活用し詳細にデータベース化する取り組みを行っています。これらの取り組みは、従来は配信側に偏っていましたが、今後は制作側へも貢献を行い、新たなデータサービスに繋がりえるものとなります。また合わせて、現在、海外へのアニメーター、アニメ制作リソースの流出が続き一部では日本のアニメ制作力の維持発展が危惧されている中、日本のアニメーターをはじめ、アニメ制作に関する制作力や市場環境の向上に役に立つことを目指していきます。
3つめは、感性ターゲティング広告サービス「Trig’s」のPMPという分野における市場開拓の機会となります。PMPというのは、PrivateMarket Place の略で、従来のインターネット広告の主流であるSNS広告や履歴に基づいたリターゲティング広告とは異なり、良質なメディアとそのようなメディア・コンテンツと相性の良い広告を直接繋ぐ広告サービスともいえ、どちらかと言えば、すぐに購買に直結させるというよりは、ブランドやサービスの認知のみならず信頼、共感を高めるための広告手法となります。インターネット広告市場の規模は、テレビ、ラジオ、新聞、出版などの従来メディアの広告市場の規模を超えた成長を続けている一方で、日本インタラクティブ広告協会の調査によれば、インターネット広告の信頼度はその中でもっとも低く2割程度の人しか信頼していない、むしろ嫌われているくらいである、というレポートもあります。
様々なテクノロジーの進化に伴いインターネット広告市場は発展してきた中、ひたすら行動履歴を追いかけてくるリターゲティング広告、詐欺まがいの広告、コンプレックス広告、アクセス増を狙った不適切な表現、などが広がり、結果的に生活者にとって「あまり好まれない情報(広告)サービス」になっているのだとすれば、それはとても勿体無いことかと思います。また個人情報保護が背景にあるクッキーレスの時代への流れもあり、インターネット広告は、現在大きな変わり目にあります。海外では既にPMP市場は大きな存在となっておりますが、日本ではまだまだ小さな市場規模であり、当社はこの市場のフロントランナーの1社になるべく、効率が多少良くなくとも、手間をかけて取材や編集を行い、品質や信頼性を重視してメディアを制作しているプライムメディアと、自社のこだわり、フィロソフィー、パーパスを丁寧に訴求したい企業とをTrig’sで繋ぎ、今後日本でも花開くであろうPMP市場の発展に貢献していきます。

繰り返し、前期は本当に情けない結果といえますが、その1年の活動の中で広がってきたこれらの音楽、映像、感性マーケティングそれぞれの次期以降への可能性を具体的な成果に変えていきます。
また言うまでもなく、これらの可能性を支えるのは、当社のメタデータと感性AIとなります。この独自のデータ・テクノロジーは、昨今の生成AIとの連携でより磨かれていくことがより明確に見えてきました。具体的にいえば、当社データの知識グラフ(知識情報のつながりの体系化)への活用という中で、当社データベースの性能向上に役に立つ道筋を前期の研究開発活動の中で、見つけました。合わせて、生成AI の課題とも言われているハルシネーション、つまり不正確な情報の抽出という事象に対し、検索拡張生成という手法を通じて当社データベースと生成AIを連携させることで結果として、生成AIの出力結果の根拠の明示や不正確情報の抑制という効果が見られることも前期の研究開発の成果として上がりました。
また生成AIは大量のメタデータ生成が行うことができ、ますますメタデータは今後爆発的に増えていきますが、これらメタデータの構造化、体系化、正規化が当社データサービスの事業機会になることも見えてきました。

このように、エンターテイメント、テクノロジー、感性マーケティングと、世界の大きな潮流が大きく動き、潮目が変わりつつある中で、あるべき時にあるべき場所にいるために、もがきながらも進んだ1年でもありました。
迎えつつある大きなチャンスを今期以降着実に掴み発展させていくためにも、当社はより変わらないとなりません。一番変わらなければいけないのはまず社長、つまり私です。より社員、技術、サービス、事業、取引先の皆様、株主の皆様、そして結果、これらにより深くシビアに大きく向き合っていきます。自分自身が一番変わる前提で、今期は社内の組織も大きく変えました。
事業、開発系のリーダーにそれぞれ30歳前後の人がなりました。この過程で様々なことに気づき、気づかされました。他のリーダー層からすれば、「なぜ急に?」「時期尚早ではないか」「いきなり部下になるのか」などの心象もあったかもしれません。いつも支えて頂いている社外取締役からも「あまり大きく変えてうまくいくことはない」という声も頂きました。たしかにそうかもしれません。一方で、それなりの時間をかけて様々な会話を重ねる中で、今までのリーダー層から「自分も変わらないと」「新しいリーダーを支えよう」という声が挙がってきました。新しいリーダーの謙虚な情熱、今までのリーダー層の理解と決意、これらを積み重ね感じるにつけ、自分で言うのも何ですが、本当にいい会社だな、いい仲間だな、と思いました。もちろんまだ成果が出ているわけではなく、まずは今期より良い一歩、より高い成長、ということなのですが、新しい経営チーム、そして全ての社員みんなで力を合わせ、具体的な成果と企業文化の醸成、私自らの責任を果たしたいと思います。

もちろん株主の皆様にとっていい会社とは、利益を上げること、株価を上げること、だと思います、よりそこに繋がる1年といたします。
今期売上予想は、対前年15%増と従来の中では、高い成長率を計画しています。
前期において連続増収ではありますが、対前年2.3%成長、2期前からすると16%の売上成長なので、ここまで2年分の成長をこの1年で行うということでもあります。
今期は、今後中期的に20%の売上成長を連続的に行う基盤の1年にすると位置付けております。
具体的にはメタデータ、感性AIをより磨き、音楽、映像のエンターテイメント分野においては、サブスクリプションサービス以外へのデータ提供用途、範囲の拡大、新たなデータ開発、グローバルへの展開を進めていきます。感性マーケティング分野においては、Trig’sの成長スピードをさらに上げてまいります。前期おおよそ倍増ペースでありましたが、今期は4倍増を目指していきます。その中で、外部営業パートナーとの連携、クリエイティブサービスの収益化、広告配信から見えた感性データを活用した事業や外部連携、動画広告サービスの展開を進めていきます。
これらの活動により黒字化と15%の売上成長を行います。

その後の中期的展開について最後にお伝えさせて頂きます。
当社の事業モデルは、過去には開発運用事業の売上が中心の時期があり、その後は現在のデータライセンス事業モデルが中心となっています。中期的にはデータライセンス事業モデルに加え、IP(知的財産)事業モデルの育成、発展をさせてまいります。データライセンスは、当社データの利用に応じて利用料を頂く収益モデル、IP事業は当社データを利用して生成された制作物であるIP(広くキャラクター、作品、商品、イベントなど)が生んだ収益から配分を頂く収益モデルとなります。今後ますます生まれてくる多種多様なIPの発掘、制作、流通、金融に当社の感性データ・ソリューションが貢献するように進めてまいります。またこれらIP事業の市場範囲は、国内もとよりグローバルに存在します。 そして結果的にはこのIP事業モデルをより独自に発展させることになるとも考えられる、以前からこのお手紙にてお伝えさせて頂いている個人と企業、生産者、クリエイターが垣根を超えて共感で繋がるコミュニケーションプラットフォームの実現に向けて、一つ一つ丁寧に、かつスピードをより上げて進めていきます。

株式会社ソケッツ代表取締役 浦部浩司最後に、重ねまして、前期の結果は申し訳なく思います。
そのなかで、ご期待をくださりありがとうございます。
そのようなお気持ちにお返しをさせてください。

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